夭折の詩人、八木重吉の10篇の詩による歌曲集。短い言葉の中に澄み切った境地が展開する。音楽は奇を衒うことなく、それぞれの言葉に親密に寄り添っている。全10曲。
1. 空が 凝視ている （2’25”）
2. かなかな （2’00”）
3. 虫 （1’30”）
4. うつくしいもの （1’50”）
5. ふるさとの 山 （1’30”）
6. 母をおもう （1’30”）
7. 胡蝶 （4’25”）
8. 葉 （1’50”）
9. 素朴な琴 （1’30”）
10. 皎々とのぼつてゆきたい （2’45”）

＜まえがき＞

私がはじめて八木重吉の詩に出会ったのは大学生になったばかりの頃でした。しかし、ほんとうに重吉の詩がいいなぁと思ったのは、ずうっとあとのことで、見開きページいっぱいに描かれた絵の中に、重吉の詩が一編ずつ載っている絵本に出会ったときでした。絵本の中で、重吉の言葉は、余計なものを持たず、真摯かつ真っすぐで、透明な空気感に満たされながら心地よい自然の香りを放っているかのようでした。このとき、私は、重吉の詩には音楽もよく合うはずだと閃くように思いました。そして3年をかけてこの歌曲集を作りあげました。

この出版によって「八木重吉のうた」が多くの方の目にとまり、演奏され、かつ聴いていただくことにより、重吉の詩やその世界がさらに広がることを心から願っています。

和泉耕二