「お前の居場所は、俺が作るから。泣くな」<br>ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、異彩の少年・月島と出会い、振り回され、傷<br>付きながらもその側にいようとする。<br>やがて月島は唐突に「バンドをやる」と言い出した。<br>彼は、夏子の人生の破壊者でも創造者でもあった。<br><br>大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。<br>異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。<br>直木賞候補となった鮮烈なデビュー小説。<br><br>「生生しくて、切なくて、痛くて、何度も胸を揺さぶられた。この小説が好きだ。好きだ、と叫び出したくなる」<br>宮下奈都（解説より）<br><br>【藤崎彩織】<br>1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た四人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。