『万葉集』に残された歌から、詠みびとの窮乏や苦難、その死生観を考える<br><br>死について考えることは、生について考えること。死後の世界は、想像するしかない。しかし、生の終わりとしての死を考えることによって、私たちは初めて、生をはっきりと自覚することができる。七世紀後半から八世紀の中頃を生きた万葉びとは、苦難や絶望をどうとらえ、生と死について、どのような考えを持っていたのか。残された歌を現代の視点で訳し、鑑賞しながら、今を生きる私たちの心にもある愛や哀しみへの思いを明らかにしていく。<br>【目次】（変更になる場合があります）<br>第一回　　楽しく、楽しく生きよ　～讃酒歌十三首の世界<br>第二回　　妻たちの挽歌　～天智天皇挽歌の世界<br>第三回　　葬送儀礼と荘重なる挽歌と　～日並(ひなみしの)皇子(みこと)挽歌の世界<br>第四回　　愛と別れと　～石見相聞歌の世界<br>第五回　　無念の死を語り伝える　～有間皇子挽歌の世界<br>第六回　　新羅国からやってきた尼の死　～尼の理願の挽歌の世界<br>第七回　　老いと死を生きる　～山上憶良の老いと死と<br>第八回　　人生をふりかえる　～沈痾自哀文の世界<br>第九回　　貧しさの中で生きるということ　～貧窮問答歌の世界<br>第十回　　子を悼む心　～男子(をのこ)古日(ふるひ)挽歌の世界<br>第十一回　死者と同心となる　～熊凝(くまごり)を悼む挽歌の世界<br>第十二回　散骨と拾骨と　～巻七挽歌部の世界<br>第十三回　ふたたび、楽しく楽しく生きよ　～死をめぐる断章